組織は、どう設計したら良いか

TACの公務員 V テキスト13経営学を読んでみた備忘録。

組織設計の理論

企業の組織構造には様々な種類があります。

組織構造は、どのように設定しているか? 

 

歴史を紐解いてみるといくつかの学説があります。

それは、大きく二つに分かれていて

・正しい方法はひとつだけ組織に関する

 一般原理に基づいて組織設計をすればいい と

 言う古典的組織理論。

・いやいや、 組織の置かれた状況や戦略で

 組織設計は変わるよと言う2つです。

 

正しい方法はひとつという

古典的組織理論をみていきます。

その原則は、

経営トップは例外、非定型的な意思決定に

専念し日常反復的な意思決定は下位に移譲する。

そのために、仕事を分割し各作業者に単純な作業を

専門的に担当させ能率も高める。

意思決定を移譲するため組織の各階層には

権限とそれに応じた責任を持たせる。

上位の意思決定の伝達を円滑にするため

常に一人の上司から命令を受ける。

管理者が有効に指揮監督できる部下の

人数には限界があるから幅を考えるというもの。

 

古典的組織理論の官僚制論。

官僚制組織は合法的な支配を行う

合理的な組織のモデルです。

合法、合理的に運営するため

職務分野ごとに専門家による管理を

行います。

各人の権限責任は組織規則文書が

明確化されることで確保します。

主観的利害が混入せず、大規模組織の

合理的客観的な運営を可能にした

最も効率的な組織形態と考えていた。

しかし、3つのデメリットが

指摘されています。

・規則遵守が目的となり融通が利かなくなる。

・自部門利益の優先で部門間対立が生じる。

・組織メンバーが辻褄合わせをし

 上司や企業トップに自分達の都合のよい

 情報のみを報告するようになる。

これらは、競争の圧力を受けない組織や

肥大化しすぎた企業で生じやすい。

 

古典的組織理論にほころびが見え始めたところで

組織の置かれた環境で組織構造は変わると主張した

学説には、大きく二つあり

・環境で企業の戦略が決まり組織構造が決まる。

 (チャンドラー)

・環境で組織構造は決まるです。

 環境が企業の戦略で組織構造が設定されるは、

チャンドラーの研究より

企業は取り巻く環境諸条件に適した企業戦略を決定し

それに適した組織構造を決定する。

戦略が組織構造を決める。

それは規模と種類による。

 

規模の拡大

・量が拡大すれば単一職能を担当とする管理部門が必要。

・地点の拡大、地域に分散すると多くの工場や営業所を管理する

 部門が必要。

種類の拡大

・職能の種類拡大、企業が新職能分野へ進出すると、

 複数の職能部門の職能別組織となる。

規模と種類拡大

・企業が大規模化し製品多角化したり

 全国的あるいは国際的な規模拡大を目指すと

 事業性組織が選択される

 

チャンドラーは主張の正しさを米国の大会社の組織改革の

歴史の比較分析で示しました。

 

コンティンジェンシー理論

 環境が異なれば有効な組織形態も異なると主張。

 代表的な研究者にはバーンズ&ストーカー、

 ウッドワード、ローレンス&ロウシュがいる。

 

バーンズ&ストーカーの研究

 環境により2タイプの組織がある。

 ・安定した環境下で有効な機械的組織

    伝統的組織原則が想定しているように

  官僚制組織でコミュニケーションは文書により

  ラインとスタッフが明確に区別される。

 ・変化の激しい企業関係環境有効な有機的組織

  権限が十分に移譲され、コミュニケーションが大幅に

  用いられている流動的で柔軟性の高い組織。

 であり不安定で

ウッドワードの研究

 技術が組織構造を規定すると主張。

 ・機械的組織が適応的なのは、自動車などの大量生産システム。

 ・職務の範囲な柔軟で弾力性の高い有機的組織が有効なのは、

  注文服などの単品生産システムと石油精製などの装置生産システム。

ローレンス&ローシュの研究

 同じ企業でも製造、営業、研究開発の各部門は、異なる環境に

 直面していて、各部門ごとに効果的な管理の仕方やリーダーシップ

 スタイルなどが異なる。

 激しい環境に直面している企業ほど分化も大きい。

 安定した環境下における企業では分化は比較的小さい。

 分化から生じるコンフリクトを解決するため有効に

 部門間の協力をしている企業ほど業績を上げている。

 

コンティンジェンシー理論に対する批判

ポストコンティンジェンシー理論。

 環境条件で組織構造が決まるという考えは受身的で

 組織が 能動的に環境に働きかけている側面が

 見落とされているとチャイルドがなどから批判を受けた。

 組織の能動的主体的な環境適応に焦点を当てた理論が

 ポストコンティンジェンシー理論です。