お題「これまで生きてきて「死ぬかと思った」瞬間はありますか?身体的なものでも精神的なものでも」
天国に一番近いタクシー
本当に死ぬかと思った瞬間は、
私、昔、東南アジアで仕事をしていたんです。
仕事が終わって、タクシーを呼んでホテルに帰るときのことです。
そこでは、タクシーに乗るとき、助手席に乗る風習があり
現地に馴染んでいた私も 助手席に乗りこみました。
タクシードライバーは、 速く走ることにプライドをかけていて
「速く、速く、速く」と掛け声をかけながら運転をしています。
一般道でしたが、夜ですいていてスピードが120キロぐらいでていました。
目の前をフッと黒い影が横切った。
なんと大型トラックが道を塞いでいる。
キーというブレーキのスリップ音を聴きながら
助手席で、絶対、突っ込む、間違いなく、
バリバリとめり込む車、 気が遠くなっていく様子が、
目の前に広がった瞬間、
トラックがほんの少しだけ移動してすり抜けた。
「あー怖かった」 と言いながら、
懲りずに「速く、速く、速く」と掛け声をかけスピードを上げ続ける
タクシーの中では乗った時から、ずーっと お経が流れていて
天国に一番近いタクシーに乗った時の話でした。